小児科町医者のヤブログ
感染症は細菌やウイルスなどの病原体が人体内に侵入することによって起こりますが、病原体が体内に入ったからといってあっという間に発病するわけではありません。侵入した病原体は人体内で増殖や移動を繰り返し、潜伏期間と呼ばれる一定の時間を経て初めて発病するのです。
潜伏期間はそれぞれの病原体によってまちまちで、ノロウイルスのように短いものでは数時間で発病する病気や、長いものではB型肝炎ウイルスのように数ヶ月後に発病するもの、HIV(エイズ)ウイルスのように数年以上たってから発病す� ��ものまで様々です。
昨日ちょっと触れたインフルエンザの潜伏期間は1〜4日、水痘では約2週間とされています。そして去年の12月23日から今年の1月9日までを冬休みということにして病気の流行を考えてみましょう。
園や学校のような集団生活の場は、感染症にとっては感染の機会が多く得られる,まさに温床とも言えます。12月22日までは園や学校での「うつしっこ」が盛んに行われていたことでしょう。
仮に12月22日の終業式の日にインフルエンザをうつされたとしましょう。この子が発病するのは大雑把にいって12月23日から26日の間です。インフルエンザは発病する1〜2日前から人にうつすようになるといわれていますが、その頃はすでに冬休みになっているので園や学校で人にうつすことはありません。� �にいえばうつされる子もほとんどいないということになります。また、この子がタミフルなどのインフルエンザ治療薬を使わずに自力でインフルエンザを克服したとしても、1週間で人にうつすことはなくなります。つまり三が日が終わる頃にはこの子が新たな感染を起こすことはなくなっているわけです。冬休みはまだ約1週間残っています。その間にうつす方もうつされる方も出会う機会はとても少ない、つまり冬休みになるとインフルエンザは減少する、というわけです。
一方、潜伏期間が約2週間の水痘はどうかといいますと、12月23日から1月9日までの間に発病する子はおおむね12月10日頃から12月25日頃に誰かからうつされたということになります。最後の3日間はすでに冬休みですから園や学校での「うつしっこ」は終わって� �ますが、冬休み前の2週間の間にすでに感染を受けているわけですから冬休み中の発病が減ることはありません。そして、12月22日にうつされた子も1月10日頃までには発疹がかさぶたになって人にはうつさなくなっていますし、冬休み中には感染が発生しませんから冬休み明けの約2週間は発病者が減るることが予想されます。はたして来週と再来週の感染症情報はどうなるでしょうね。
またインフルエンザの話に戻りますが、3学期の開始とともに「うつしっこ」が始まりました。インフルエンザの潜伏期間は短いですから、数日の間に次から次へと感染が連鎖反応を起こし、あっという間に大流行状態になってしまったわけですが、それにしても今年の流行の広がるスピードには驚かされます。歴史的な早さではないでしょうか。例� ��通り1月下旬からが流行のピークだと予想していた私はかなり面喰らっています。皆さん十分ご注意ください。
そして毎年毎年繰り返していますが、発熱してすぐには検査をしても診断がつきません。
「8℃を超えて8時間」8−8
というのがこども診療所の検査の目安です。
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