呼吸器のやさしイイ教科書
- デバイスが簡単なものか、大層なものか
- 1回で吸入するか、何回かの呼吸で吸入するか
- 気道内に水が入るか、入らないか
■デバイスが簡単なものか、大層なものか
これはもうそのままですが、ネブライザーは電源が必要であることと、ある程度の大きさがあるため携帯に不向きである一方、定量噴霧器はその逆で携帯が容易です。
また、ネブライザーは機器を購入する必要があり、それが数万円するため費用負担の点でもハードルがあるわけです。
ですから通院中の患者さんが家で吸入するという目的であれば、まずは定量噴霧器を使用することを考えます。
対して、救急受診時や入院中など、病院や医院、施設などに置いておくものとしては、ネブライザーで良いわけです。
■1回で吸入するか、何回かの呼吸で吸入するか
定量噴霧器は、1プッシュ、あるいは1吸入では、およそ1回の吸気にあわせて薬剤を吸い込むことになります。ですから、うまく同調できない患者さんや吸気の弱い乳幼児、大きく吸えない発作時などには、きちんと薬剤が体内に入らない可能性もあるのです。
もちろんきちんと吸えれば、決められた一回� ��が体内に入っているだろう、と見込むことができます。
また、吸入器具によって独特の手技があり、一通りの説明をして、きちんと患者さんが理解していただけたかを確認して…とやっていると、結構時間と手間がかかります。
それに対してネブライザーは、数分〜十数分かけてゆっくりと、普通の呼吸をしながら何度も何度も、少しずつ薬剤を吸うことになりますので、ある程度の量は体内に入ることが見込まれます。患者さんにとっては、あまり無理することなく、楽な呼吸をしながら吸うことができます。
特に、手技を必要とするわけではありませんので、手軽にやって頂けるのもメリットです。
逆に、息を吸ったり吐いたりするわけですから、霧となって出てきた薬剤のすべてを吸入しているわけではなく、� ��ある程度」しか体内には入らない、ということになります。
それと、ある程度時間がかかるということも、特に即効性を期待したい場面ではデメリットかもしれません。
■気道内に水が入るか、入らないか
ネブライザーは一昨日も書いたとおり、ある程度の水分と薬剤を吸入することになります。たとえば気道が乾燥していて、痰が粘調になって切れにくい、という場合には、痰が水っぽくなって、切れやすくなるのもメリットです。
一方で、喘息発作や痰が多量に存在する場面だと、特に超音波ネブライザーで多量の水分を気道内に投入することで、却って痰の量を増やすことになり、具合が悪いこともあるのです。
定量噴霧器であれば、このようなことにはなりません。
以上のようなメリット、デメリットを踏まえてデバイスを選択します。まあいろいろなことを考え てやっているわけですが、特に喘息治療において、ネブライザーを使う際にはジェット式が広く使われている、ということは覚えておきましょう。
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